いのうえゆか 作、あこ 絵
月 火 水 木 金 土 日
星降る おうちの 一週間
なつかしくて くすぐったくて
きらきらひかる 星つぶのような 毎日
それが わたしの おうちの 記憶
一週間の はじまり
わくわくするけど
すこし ドキドキする 月ようび
おうちにかえると ほっとする
夜ごはんを 食べてから まどべで しゅくだい
お母さんは となりで おしごと
森の おくからは
「ほっほ」と フクロウの なきごえ
まどから見える お月さまが
こっちを 見ているような 気がした
まきストーブの 火をつけるのが
わたしの 朝いちばんの おしごと
まきをくべて マッチをすって
火が ぼうっと 元気よくそだつと
うれしい 気もちになる
家族の ぬくもりと ストーブが
だんだん へやを あたためていく
ポットから ゆげが シューシュー
台所から ベーコンとたまごが やけるにおい
お母さんが どなべで たいてくれたごはんを
いっぱい食べて いってきます!
外はしとしと つめたい雨
こんな日は 明るいうちに
おふろで ちゃぷんと あたたまろう
おふろあがり かいだん下の トンネルは ひみつきち
ちょっと暗くて ぼうけんきぶん
まどから見える 木の葉っぱが
雨にぬれて つやつや 光って見えた
木ってね いろんな顔があるんだよ
パンみたいな あったかい色や
ちゃいろで 点々もようが いっぱいある木
なんだか木が わらっているみたい
コンコン たたくと かたかったり
はだしで歩くと ふかふかしていたり
どれもとっても 気もちいい
わたしのおうちは 木のおうち
青い屋根と 黒い木のかべ
雨がふっても あらしのときも
みんなをまもってくれる 強いおうち
まっ黒だった 木のかべは
だんだん 銀色に 光ってきた
空にはきらっと 一番星
「こんばんは」
近くに住む おじいちゃんおばあちゃんが
ごはんを食べに きてくれたよ
お友だちも わたしも
生きものと あそぶのがだいすき
おうちの庭で 花をつんだり
ゴロンと石を ひっくりかえして
ダンゴムシやトカゲを見つける かくれんぼ
つんできた花を テーブルにかざって
今日のおやつは 畑でとれた
ほくほくの おいもだよ
日ようび
いいお天気だから みんなで おせんたく
おふとんは ふっかふか
へやの中は お日さまが入って ぽっかぽか
お庭で まきわりの おてつだいをして
ウッドデッキで お昼ごはんを食べたよ
このまま ひなたぼっこをしようかな
それともおさんぽに 出かけようかな
明日も 晴れますように
人間の生活をたすけ、命を守る器でもあり 情緒や心地よさに訴えかける質感や色彩を持ち そこで繰り広げられる物語の舞台となって、時を重ねることで人の記憶がつくられます。
何気ない日常で感じる寂しさや、こわさ、あたたかさ 小さな冒険、愛された記憶 その体験が人生の支えとなります。
家は自然や他者とつながっています。庭に暮らす動植物や、家族、友人 空から見守っている月や星 時には、人ならざる者の存在を感じることもあります。そのつながりを感じることで、人は思いやりの心を培います。
ただ便利で快適なだけではない、家の意味を問い直す試みとしてこの本をつくりました。7つの曜日になぞらえて、月火水木金土日のエレメントがある家はとても豊かで楽しさに溢れているのではないかと考えました。
主人公は、7歳の女の子。あなたが7歳のころ過ごしたお家には、どんな記憶がありますか。あなたの家族には、どのような記憶を授けてあげたいでしょうか。
2024年11月11日発行
コンセブト&ストーリー:井上有加、イラスト:あこ、ディレクション・デザイン:TETORAdesign、印刷:リーブル出版
発行:株式会社 井上建築
〒784-0041 高知県安芸市倍津381-1
TEL. 0887-35-2504
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