
今年度、井上建築では規格型住宅の開発に取り組みました。
建築資材の高騰などで、ご新築での家づくりが難しくなるケースも増えてきたことから、間取りや仕様のパターン化によってコストを抑えた住宅をご提供できるようにするためです。
設計事務所や職人、メーカーと協議を重ねながら、シンプルな中にも暮らしやすさや味わいのある住宅はどのようなものかを突き詰めて考える機会となりました。
その中で、耐震や断熱など安心、快適は当然のこととしつつも、単にコスパがよくて便利快適なだけの住宅でほんとうに幸せが叶うのだろうか?という問いにぶち当たりました。
そこで私たち自身が育ってきた家について思い起こすと、さまざまな記憶がよみがえってきました。
それは楽しい思い出や記念日だけでなく、
「いつも家に帰るとおばあちゃんがいも天やお菓子を作って食べさせてくれた」
「離れにあったトイレが暗くてちょっと怖かった」
「夏の夜はものすごいカエルの合唱が聞こえて眠れないくらいだった」
といった、何気ない日常の中のワンシーンであり、必ずしもポジティブなものばかりではないことが記憶に残っていることに気が付きました。
そのような記憶を醸成する器となり、人の心を育てていくものが家であると思いました。
住宅商品の仕様をまとめたパンフレットだけではなく、そこにどのような暮らしがあるのかという物語を描きたいと思い、絵本の構想がスタート。デザイナーやイラストレーターの方々のご協力があり、素敵な一冊にまとまりました。
ストーリーも完全オリジナル。月曜日から日曜日まで一週間の日常をつづるシンプルで短いお話ですが、かわいいイラストに日々の情景が細やかに描かれていて、読むたびに発見があります。
絵本「きおくのいえ 星降るおうちの一週間」
井上建築の思いを伝えるノベルティとして制作しました。(非売品)
デジタルブックでご覧いただけますので、ぜひご一読ください。