自然素材である木、特に無垢材には、新建材にはない4つの大きな特徴・効果があります。住まいに木を使うことが健康や快適にどのようにつながるのか、わかりやすくご紹介していきたいと思います。
2つ目の効果は、「調湿」です!
高温多湿な高知で要注意!「湿気」が引き起こすさまざまな問題
高知県は、日本の中でも特に高温多湿な地域です。夏にはスコールのような大雨が降ったり、台風が通ることも多く、また海辺や山間地域など湿気の発生源になる自然環境も身近にあります。
県外出身の私(有加)が高知へ引っ越してきて驚いたのは、梅雨時期に家の中(当時はリフォーム前の古い家)にあるカバンや靴、スーツなどがことごとくカビてしまったことです・・・。経験したことのないあまりの湿気の多さに衝撃を受けながら、洗濯やカビ取り作業に追われたのを覚えています。
湿気によるカビの発生は、大切な衣服などをダメにしてしまうだけでなく、健康への影響も心配です。カビの一部は人体にとって有毒な毒素を出し、またカビの胞子がアレルギー症状を引き起こすこともあります。さらに、カビの胞子を餌にしているダニの増殖にもつながり、ダニがぜんそくや鼻炎などを引き起こす原因にもなります。
このように、様々な健康被害の原因になるカビは、特に小さいお子さんのいるご家庭では気を付けなければなりません。このカビが発生する原因は、湿度、温度、栄養素(ホコリや食べかす)、酸素、という要素がありますが、この中でも特に湿気対策をすることが有効で、お部屋の湿度を60%以下に抑えると発生しにくくなります。
なお、カビや結露は住宅の内装や躯体を汚したり傷める原因にもなるので、お家にとっても大敵なのです。
木の家は、湿度を10%下げてくれる。
お部屋の中の湿気を取り除くには、除湿と換気が有効です。除湿のためには、ホームセンターで売っている除湿剤を置いたり、除湿機をかけるという対策もありますが、内装材に木を使うことも効果があります。木材は、ストローのような孔が空いた細胞がたくさん集まってできていて、この孔が空気中の湿気を吸いとる効果を持っています。湿度が高い時には湿気を吸い(除湿)、逆に空気が乾燥している時には水分を放出する(加湿)という、湿度を調整してくれる力のことを「調湿効果」と言います。
木の家の調湿効果は、研究により明らかにされています。上のグラフは、木の家と非木材の家で、睡眠中の湿度の変化を調べた実験結果です。非木材の家では、時間が経つほど湿度が上昇していますが、木の家では湿度が低く保たれています。その平均湿度の差は10%もありました。
もちろん、あまりに蒸し暑い梅雨時期などは、エアコンや除湿機も使った方が十分に除湿ができますが、内装に無垢の木を張っておけば、それだけで一定の除湿効果があるということです。雨が多く多湿な日本の暮らしは、湿気とのたたかいでした。大切なものを保管しておく蔵やたんす、箱などの多くは木材で作られてきましたが、エアコンがなかった時代に木の調湿効果をいかした知恵だったといえます。
無垢の床の調湿効果で、梅雨時期でもさらさら快適に!
木の内装は、調湿効果により空気を快適にしますが、直接触れても心地よさを感じさせます。特に無垢フローリングは、梅雨でも新建材の複合フローリングやビニールのように表面がベタベタすることなく、いつもさらさらの状態を保っています。お風呂上りなども、足の裏に床が貼りついてくるような不快感がなく、本当に気持ちいいおすすめの素材です。
ショールーム「木のここち」には、3種類(クリ、サクラ、スギ)の無垢フローリングを張っていますが、夏場もどの床もさらさらして気持ちよく、特に事務所に張っているスギは一番さらっと乾いたように感じます。あまりに気持ちいいので、仕事中ではありますがスタッフは靴下を脱いで裸足でデスクに向かっております。(うっかり裸足のままお客様の前に現れてしまったときには、どうかご容赦ください。むしろ、お客様にも素足でリラックスして過ごしていただきたいと思っています。)
ところで、湿気を吸ったり吐いたりしてくれている木材は、湿度を吸って膨らみ、乾燥すると縮むという性質があります。そのため、場合によっては夏場に床が浮いてきたり、冬に隙間が大きく空いたり木の表面が割れることがあります。施工の工夫や、十分に木材を乾燥させる品質管理によりこのような動きはある程度防ぐことができますが、お家の環境や木の性質のばらつきなどにより完全には抑えきれないことがあります。調湿効果があるからこそ動いてしまうという、このような自然素材特有の木の性質を、お施主様には十分にご理解いただいておくことが大切と考えています。
除湿、断熱、換気をセットで。
初めての高知の梅雨に、衣服をカビだらけにしたあの経験の後・・・自宅(築60年)を全面リフォームしてからは、室内の湿気はかなり改善されました。その理由としては、
・新建材だった内装を無垢フローリングや珪藻土クロスに張り替えたこと
・シングルガラスのアルミサッシをペアガラスの複合サッシに変えたこと
・必要な時に換気や除湿機の活用、洗濯物を部屋干しせず乾燥機にかけるなど、暮らし方を工夫するようになったこと
など、除湿と同時に断熱による結露防止、換気、という対策を行ったためだと思います。今では、服や靴がカビることもなくなりました。
木の調湿効果をいかしながらも、住宅の性能や家事の仕方などの全体的な工夫で、湿気と上手く付き合う暮らしをしていきましょう。それが高温多湿な高知の家での快適性を高め、住宅を長持ちさせることにもつながっていきます。