最近増えてます、木張り天井。
お部屋の天井のデザインって、考えたことありますか?
間取りや設備のことはあれこれ考えるものですが、内装の仕上げ材、とくに天井のことはあまり気にしたことがない方も多いと思います。
直接足で踏みしめる床は質感を重視して無垢材を選ばれる方が多いですし、壁は好きな柄のクロスを選ぶ楽しみがあります。でも天井となると、手で触れることもないし、普段過ごす時は特に気にすることもない部分とも言えます。
しかし、そんな天井にあえて木を張ることで、お部屋がぐっと素敵になり色々な効果も期待できます。
触れないからこそ、無垢材を使いやすい
天井は、よほど背の高い方でない限り(わざわざ触れる用事もないですし・・・)普段の生活では直接触れることはない部分です。だからこそ、デリケートな無垢材を使うのにうってつけの場所です。
床材や壁は、歩いたり手で触れることが多いので、無垢材を使う場合はどうしても汚れや傷を防ぐ、あるいは汚れや傷を認めながら向き合っていくことを考えなくてはなりません。汚れ防止に自然オイルの塗装で仕上げれば木の質感や香り、調湿効果を妨げにくいですが、塗膜を張るウレタン塗装してしまうとそういった本来の無垢材のよさが損なわれてしまいます。
ところが天井なら、汚れや傷が付くことは滅多にありません。だからこそ、無垢材を塗装しないまま使っても心配が少ないのです。塗装しなければ、木の色合いもそのままに、香りや調湿効果も存分に発揮してくれます。木の力でお部屋の快適性を高めるためには、天井に無垢材を使うことはとてもおすすめです。
上を向こう。天井が、一味違うデザインに。
私たちのショールーム「木のここち」の天井には、ヒノキの無垢材を張っています。実際に日々過ごしていると、気が付いたら天井を見上げて「今日も天井きれいだなぁ」と眺めていることに気が付きます。
来られたお客様からも「この天井素敵ですね!」とよく言われます。天井を褒められることって、あまりないことだと思うのですが(笑)それだけ、一味違うデザインに仕上がっているということだと思います。
特にソファに座った時や床にごろんと寝転んだ時に、天井がよく見えます。やわらかな木目が見えることで目線がゆっくりと動いて、ぼーっとする時間の演出に一役買っているような気がします。また、真っ白なクロスに比べて光の反射がおだやかなので、目にも優しいデザインです。
木の天井は圧迫感があるのでは?と思いがちですが、落ち着いた明るい色合いのスギやヒノキの無垢材ならそのような印象はありません。節がないものや赤身が少ない材料を使うといいでしょう。むしろ、木の天井が日光をやわらかく受け止めてくれるので、お部屋全体が落ち着いた雰囲気になり、包み込まれるような心地よさを感じます。
そういえば子供の頃、おばあちゃんの家で寝る時に、和室の天井板を眺めた記憶はありませんか?昔ながらの天井板は木目が複雑なものが多くて、だんだん顔に見えてきたりして怖かったものですが・・・(苦笑)洋室にも合うシンプルな板なら、顔に見えることもないですし飽きがこないデザインに仕上がるでしょう。
木を張る方向で印象が変わる。
細長い木の板を張ることで、天井に方向性が生まれます。板の向きによって奥行を感じさせたり、横の広がりを強調することもできます。どのような雰囲気のお部屋にしたいかによって、張る方向も考えてみましょう。
特にデザインにこだわりたい、印象付けたいお部屋、リビングや玄関ホール、和室などに無垢材を張るのがおすすめです。無垢材仕上はクロス仕上げより高価になるので、張る場所を絞ることでコストを抑えられます。
おすすめの天井材
天井に無垢材を張る場合、デザインに大きく影響する材料選びが大切です。私たちがおすすめするのは、色合いがやさしく、現代の暮らしにも合うシンプルなスギやヒノキの板です。
ヒノキ小幅板風羽目板
最近一番人気があるのが、「木のここち」でも採用しているヒノキの小幅板風羽目板です。和風のイメージがあるヒノキの無地(節がない)板に、スリット加工を施すことで洋風、北欧風、和風などどんなテイストにもよく合います。細かい部材を組み合わせたように見える繊細なデザインは上質感があり、店舗や施設にもよく使っていただいています。
製造しているメーカーは、三重県の野地木材工業さん。国産材で品質とデザイン性の高い製品を展開されている、信頼できる会社さんです。
スギ無地上小羽目板
あたたかみがあり、ゆったりした雰囲気のスギ羽目板もおすすめです。上の写真は、勾配天井に現しの梁を組み合わせたデザインになっています。
スギは木の産地や木取りの仕方によって「節」や「色(赤白)」などの個性・ばらつきが出やすい木で、その分、材料をしっかり選ばないとイメージと違う仕上がりになってしまうこともあります。シンプルで飽きの来ないデザインにするためには、節がないもの、色合いが白っぽいものを使うのがおすすめ。
ただし、自然素材であるため真っ白な板ばかりでなく、どうしても赤っぽい部分が混ざることが普通です。全て白で揃えようとすると、その分コストもかさんでしまいます。でも、この赤身(木の芯にあたる部分)と白太(木の外側の部分)はスギの特徴であり面白さでもあるので、デザインアクセントとして楽しむという発想も大切です。
この赤と白が混ざった板をどう配置して張るかが大工さんの腕とセンスの見せ所で、井上建築の大工さんはその辺りをよく考えて施工してくれます。上の写真を見てもわかるように、赤身の部分はなるべく端っこに来るように配置してありますね。また、節や黒っぽい部分が出た場合はカットして除くなど、陰で工夫をしてくれています。
天井に無垢材を張れない場合(内装制限)
天井に無垢材を張りたくても、法律上張ることができない場合もあるので注意しましょう。
建築基準法により、住宅の火気使用室(キッチンなど)の天井には無垢材を張れないという規制があります。ただし、以下の場合などは制限がありません。
・平屋の場合、2階建ての2階の場合
・コンロ周りの一定範囲を準不燃材で仕上げる場合
・火気使用室を50cmの垂れ壁で囲った場合に隣の部屋は張れる
・IHヒーターを使用する場合
天井に無垢材を使いたい場合は、間取り設計の段階で配慮しておきましょう。
木の天井を実際に体感してみましょう。
色々な特徴やメリットがある木の天井ですが、そのよさを知るには実際に見て体感してみることが一番です。
井上建築のショールーム「木のここち」には、ヒノキの小幅板風羽目板を張っています。日々スタッフが過ごしているお部屋で、経年変化も含めてご覧いただけます。
木の天井が気になった方は、ぜひお立ち寄りください。