小さなお部屋にもギャラリーを~洋室に合う床の間~

最近、物を減らしてシンプルに暮らす「タイニーハウス」つまり小さなお家が、世界的に静かなブームになっています。

小さなお家は、建築コストを下げられる、掃除が楽、家事動線がコンパクトなどのメリットがあります。

核家族化や、高知ならではの「おきゃく」のための部屋を作らなくなったこともあり、コンパクトなお家で十分という方が増えているように思います。

 

しかし、ただ狭いお家では息苦しくなりますし、どこかに遊び心やゆとりもほしいですよね。

 

そこで、小さなお家でもゆとりを感じながら暮らす方法について考えてみましょう。

そのためには、十分な収納を確保することはもちろんですが、部屋の角にあえて棚を置いたり収納にせずに、アートや季節のお花を飾るギャラリースペースにしてみませんか?

この写真は、自宅兼ショールームのLDK(約10畳)です。

ソファの横、壁際に丸い柱が立っています。

一本そこにあるだけで、ぐっとお部屋の質感が上がる【北山丸太】を立てて「床の間」風に仕上げました。

床の間と言えばふつうは和室につくるもので、そこに茶道具やお花、掛け軸を飾っておもてなしの心を表します。

また、床の間の飾りを変えるだけで和室が冠婚葬祭の場にもなる、場面転換装置の役割も果たしています。

(たとえば昔は「南無阿弥陀仏」の軸をかけてお葬式も自宅でしていました)

1つの空間をいろいろな使い方をする、ある意味で省スペースな日本ならではの工夫です。

今回ショールームにも使った「北山杉」は、まさに床柱にするために育てられている京都の銘木で、昔からお茶室など数寄屋建築にも使われてきました。

普通の角柱と違って、樹皮をむいて磨き上げて丸のまま使うので、表面に節が出ないように綿密に枝打ちをし、また根本と上の方の太さがほぼ同じになるように成長をコントロールされています。

600年の林業の歴史を持つ京都北山の伝統工芸品で、手塩にかけて育てられた磨き丸太は、やさしくもきらびやかな独特な光沢を放ちます。唯一無二の杉といっていいでしょう。

(嫁の有加が学生時代にこの北山杉の産地に通い詰めていたので、特別な思い入れもあります。語り出すと3時間はかかるので詳しくはまたの機会に・・・)

 

「床柱」とか「和風」のイメージが強いかと思いきや、こんな風に洋室にもマッチしました。

素材の底力に脱帽です。

杉の表面を磨きあげた天然色の白木なので、北欧インテリアにもよく合いそうですね。

 

掛け軸をかけ、ハロゲンスポットライトを当てると、床の間としてキマりました!

このように小さなお家でもあえてスペースをとって、日々の心の演出をする。

そんなひと工夫をしてみてはいかがでしょうか?

 

また、それを可能にさせるたった一本の「木」に特別な力を感じる事例でした。

*自宅兼ショールームはお気軽にご見学いただけます。ご興味のある方は、お問い合わせください。

井上建築 TEL 0887-35-2504