「おでかけとさっ子タウン」木材コーディネーターの職業体験を開催しました

子どもたちが高知県内各地にある企業や団体におでかけし、仕事や社会の仕組みを体験する‟こどものまち”の取り組み「おでかけとさっ子タウン」。今年は井上建築からも「求人票」を出しました!

タイトルは「森と建築を繋ぐ仕事(木材コーディネーター)

3名の小中学生がお仕事に来てくれました。私たちが木の家づくりで大切にしている、森と建築をつなぐこととはどういうことなのか、実際に森林~製材~施工現場という流れで見学・体感していただきました。

木が育っている山に行ってみよう!

安芸市は森林率89%。少し車を走らせれば、すぐに森林に行くことができます。今回は私たちの事務所の近くで、土佐備長炭の生産をしている土佐備長炭一さんの山にお邪魔しました。

この山はヒノキが植えられている人工林ですが、子どもでも歩きやすい道があり、またヒノキ以外の広葉樹も育っていて気持ちのいい山です。林道を下りていくとさっそく出会ったのは、イノシシの「ぬた場」。ミミズや虫を掘って食べたり、泥あびをした跡がありました。山は林業の営みの場でありながら、動物や虫、植物も暮らしている生態系です。そんな生き物の気配を感じながら、歩いていきます。

「このヒノキは樹齢何年くらいかな?」「なぜ針葉樹が建築材料に向いているのかな?」といったクイズを出しながら、林業について学んでいきました。ヒノキの間には自然に生えてきたクリの木や、炭の原料になるナラ、カシなどの広葉樹もたくさんありました。針葉樹と広葉樹の違いについても実際の木を見ることでよく理解できました。

お勉強だけでなく、木の下にたくさん生えている大きなシダの葉っぱで飛行機をつくって飛ばしたり、木になる葉っぱや木の実を拾ったりと、子どもたちは山遊びも楽しんでくれました。

建築へバトンを渡す、製材所に行ってみよう

次に、安芸市内の製材所を見学しました。山に立っていた木が収穫されて、丸太を角材に加工することで建築材料になっていきます。土場にゴロゴロしている大きな丸太。年輪を数えてみたら・・・子どもたちよりも私たち大人よりも、ずいぶん年上だね!

大きな音を立てて製材機の台車や鋸が動く迫力のシーンも見させていただきました。スギとヒノキの丸太の違いも、何となくわかりました。木材は乾燥が大切ということも勉強できました。

木の建築を見てみよう!

最後に、安芸市内で施工中の建築現場を見学しました。製材所でも見たスギやヒノキを使った内装材や、磨き丸太、山にも生えていたクリのフローリングなど、さまざまな木を使い分けている様子を見ていただきました。実際に建築で使う木材は、高知県内だけでなく、東北や近畿地方などから取り寄せています。これは樹種によって豊富な産地が違うことや、製材メーカーによって得意な製品に違いがあるためです。そのような特徴に応じて調達するのも木材コーディネーターの仕事です。

その後、井上建築のショールーム「木のここち」でも木材の‟適材適所”の使い方や、木のよさについてレクチャーしました。

半日で山から製材、建築を巡る体験でしたが、子どもたちに「どれが一番面白かった?」と聞くと全員が「山!」と答えてくれました。森の中でのびのびと遊ぶ体験が楽しかったのかもしれませんね。

「山は虫がいて苦手なイメージだったけど、色々な遊びもできて山を好きになった」

「僕は将来建築士になりたいので、木のことを知れてよかった」

といった感想をいただきました。

今回のプログラムでは、普段は見られない建築の裏側である林業や木材の流通について触れました。実際に建築の仕事に就いても、様々な素材や建築の工程がある中で、木材に関わることは少ないかもしれません。しかし、木は構造だけでなく内装や家具などとても多くのものに変身するスーパーマンのような材料であり、特徴に合わせて使い分けることで快適で使い勝手のいい建物になること、地元や国内で手に入るエコな材料であることから、大切にしたい素材です。

自分たちが普段生活している建築物の背景についても知っていることで、モノの先にある物語への想像力が高まり、また感謝する心も生まれてくると思います。これからも、職業体験や環境学習、そしてお施主様を森林へ案内する取り組みを続けていきたいと思います。

参加してくれたみなさん、ありがとうございました!