整理収納アドバイザーが教える、システムキッチンを最大限活用する収納術(前編)

新築やリフォームでは、ほとんどの方がシステムキッチンを採用されています。

最近のシステムキッチンは、お手入れのしやすさやデザインもさることながら、収納のしやすさについてもよく考えられていて、すごく進化しています。

しかし、ポイントをおさえた正しい収納の仕方を知っていないと、せっかく大容量の収納があっても、なんだか使いにくいキッチンになってしまいます。

そこで、今回はLIXILさんの「Noct(ノクト)」というシリーズのキッチンについて、その能力を最大限に発揮させる収納方法をご紹介します。

まずは、収納の3ステップを確認

さあ、新しいキッチンに物をしまうぞ!と、全部のものをとにかく詰め込んでいったり、いきなり仕切り板や収納グッズを買い込んでしまってはいけません。

落ち着いて、次の3ステップに沿って進めてみましょう。

1.ゴール(目指す形)を確認する

すっきり整ったキッチンを使いたいというのはみなさん共通の願いだと思いますが、実際は人によって収納のお悩みや生活スタイルが違うので、キッチン収納のゴールも少しずつ違ってきます。

たとえば、

  • お料理を効率よくこなすために、すべての道具がさっと取り出せるようにしたい。
  • 賞味期限切れなどによる食材ロスをなくしたい。
  • 家族といっしょに料理することが多いので、みんながわかる収納にしたい。

といったように、いま自分が困っている問題や、収納できた後の暮らしの理想像から、具体的なイメージを持って始めましょう。

何となく「インスタ映えする収納」にしたいからと、なんでも白い箱にしまい込んだりして、かえって使いづらくなってしまっては本末転倒です。

2.「整理」する=不要なものを取り除く

「整理収納アドバイザー」という資格の名前があるように、すっきりと暮らすためには収納の前に「整理」のステップが必要です。整理とは、不要なものを取り除くことです。(断捨離というとわかりやすいですね)

不必要なモノや使っていないモノにまで、スペースを割いて収納してしまうのはもったいないことです。

新築やリフォームをきっかけに、今持っているモノの数や量を見直してみましょう。

3.収納の5つの鉄則に則って「収納」する

どんな場合も、以下の5つの鉄則をおさえて収納するとうまくいきます。

  1. 適正量
  2. 使用頻度別収納
  3. 動作動線
  4. グルーピング
  5. 定位置管理

次からは、5つの鉄則をキッチン収納に当てはめて考えていきます。

【収納の鉄則①】適正量

まずは、さきほどの「整理」にも通じますが、自分にとって適正なモノの数や量を考えてみることです。モノの量をできるだけ適正量に近づけ、その量が収納できるスペースを確保します。

たとえば、キッチンで増えがちな以下のようなモノ。あなたにとって必要な量はどのくらいだと思いますか?適正量は、人によってすべて答えが違います。

モノ個数
? 
タッパー? 
スプーン? 
割りばし? 

想定した量と、実際に持っている量があまりにもかけ離れていることがかわったら、ぜひ「整理」に取り組んでみましょう。

【収納の鉄則②】使用頻度別収納

少し難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、つまりは

よく使うものほど、取り出しやすくしまいやすい場所に収納する。

という当たり前のことを言っています。

たとえば、上の図のように、キッチン周辺のモノを使う頻度によって分けてみました。

キッチン本体に収納するものや、食器棚に収納するものも混ざっていますが、それぞれの場所でよく使うものから取り出しやすい位置に収納していきます。

もしも、年に1度しか使わないお正月用の重箱が、キッチンの引き出しのど真ん中にしまってあったら、どうでしょうか?もっと使う頻度が高い鍋や調味料などをしまった方が、使いやすいですよね。

ときどきしか使わないものは、キッチン本体ではなくパントリーや倉庫に収納して、キッチンには1軍~3軍のものだけを収納するようにしましょう。

【収納の鉄則③】動作動線

これは、「使う場所の近くに収納する」という意味です。

キッチンの造りを大きく3つのゾーンに分けると図のようになっています。

それぞれのゾーンでする作業内容や、使うモノが違いますよね。

コンロでよく使うモノ(フライパン、油、調味料など)はコンロ廻りに。水を入れて使うボウルやザル、洗剤類などはシンク廻りに入れると、取り出してすぐに使えるので動作動線にかなっています。

なお、シンク下は湿気がこもりやすいので、湿気に弱いもの(粉モノなど)を収納するのはおすすめしません。このようにゾーンの特徴も考慮してみましょう。

【収納の鉄則④】グルーピング

モノは、何かしらのグループ(分類)で収納してあげると、ぱっと見てどこに何があるかわかりやすく、取り出しやすくなります。

グループを作るためには、引き出しの中は四角く区切る(仕切る)ことが必要になります。仕切りがないと、引き出しを動かすたびに中身が混ざって、そのうち全てのものがごちゃ混ぜになってしまいます。

写真のように

左「調理道具のグループ」/右「調味料のグループ」

といったようにおおまかなグループでもいいので、分けて(分類して)収納しましょう。

また、さらに細かくグループを作る場合には、素材別に分けるとよりわかりやすく、美しく見えます。調理道具を「金属製」「木製」「プラスチック製」などに分けるときれいに見えますね。

注意点は、いきなり細かく仕切りすぎないことと、収納グッズ(箱やカゴ)をいきなり買い込まないことです。

まずは、紙袋や空き箱などを利用して、試しながら自分にあったグループ分けの形を徐々に作っていきます。空き箱なら、コストもかかりませんし、形が合わなかったり不要になったら処分できるので柔軟な収納を作れます。

【収納の鉄則⑤】定位置管理

最後の鉄則は、定位置管理です。

これは、モノの居場所(収納場所)が決まったら、その位置を守るということ。つまり、使ったら元の場所に戻して、位置をキープするということです。

せっかく理想の収納のカタチが完成したのに、使ったモノを適当な場所に置いていったり出しっぱなしにしてしまうと、そのうちにキッチンはごちゃごちゃに。何がどこにあるか、わからなくなってしまいます。これ、やりがちですよね(笑)

定位置管理をするためには、必要な場合はラベリングをするのも有効です。マスキングテープなどにモノの名前を書いて、収納場所に貼っておけば迷いません。主にキッチンを使う人だけでなく、家族みんながわかることも大切です。

後編につづく。

いかがでしたか?使いやすくすっきりした収納にするためには、「収納の5つの鉄則」を守ることが大切です。おさらいしてみましょう!

  1. 適正量
  2. 使用頻度別収納
  3. 動作動線
  4. グルーピング
  5. 定位置管理

後編では、システムキッチン「ノクト」の機能を活用した、具体的な収納のポイントをご紹介します。

文章:整理収納アドバイザー 井上有加