1月23日(土)に井上建築では初めての試みとして、オンラインで森林とSDGsについての講座をしました。
今回の取り組みは安芸商工会議所のご紹介で、なんと!県内ではなく神奈川県の川崎市立平間小学校の5年生のみなさんとオンラインでつないで行いました。
この平間小学校では年に1度「平間SDGsフェス」として、さまざまな企業からの出前授業を行う1日を設けられていて、政府の「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。
5年生の担任の先生が高知県出身とのことで、今回のご縁をいただきました。
テーマは「森林」。私たちが建てている木の家には欠かせない素材である木材が生産される森林。
また高知県は日本一の森林率84%ということで、このテーマを選ばせていただきました。
5年生のみなさんに何とか興味を持ってもらおうと考えた授業のタイトルは、
「日本の森を知ろう!~炭治郎が背負っている木は何?~」
今大人気のアニメ「鬼滅の刃」からネタを盛り込みました!
みなさん「鬼滅の刃」の中にも、いろいろな木が登場しているのをご存知ですか?
私たちは漫画を読んでいてもついつい木に目が行ってしまいます・・・(笑)
アニメに出てくる木はいったい何の木なのか、クイズを出すところからスタートしました。
(炭治郎の炭になる木、禰豆子が入っている箱になる木、禰豆子が咥えている木はどれかな?)
また都会では触れることが少ない木を五感で感じてもらおうと、事前に素材を集めてお送りしました。
用意したのは、スギの板・丸太・葉っぱ、土佐備長炭とウバメカシの枝葉、タケです。
どんな見た目、香りや手触りがしたか、班ごとにたくさん感想を書いてくれました。
当日はzoomでつないで40分間の講義。
モニター越しに生徒さんたちの顔が見えるように、机もレイアウトしてくださいました。
オンライン講義は初めての試みだったそうで、映像がつながるとみんな一生懸命手を振ってくれてかわいかったです!
私たちはオフィスから。
有加が鬼滅クイズを担当し、スギ、カシ、タケが生えている森はどんな環境なのか、どのように育つのか、また製材や炭焼きの様子を動画を交えてご紹介しました。
クイズはみんな、大正解でしたよ。
後半は将太から、森林とSDGsのかかわりについてレクチャー。
「日本の森林は、増えているでしょうか、減っているでしょうか?」の問いかけから始まり、
日本の森林面積はここ50年ほどほぼ変わらいものの、その蓄積は増加し続けていること。
昔から日本人の生活に欠かせない存在だった木や森林は、いま活用されないことで手入れが行き届かず荒廃し、問題になっていることをお伝えしました。
炭治郎の時代に比べて、木造住宅はほかの工法や素材になり、炭や薪は化石燃料というエネルギーに取って代わられ、昔は何でも竹でできていた道具はプラスチックの普及で生活から姿を消しました。
このような状況で、高知県の私たちは森林を手入れして頑張らなくてはなりませんが、川崎市のような都市部でもできることとして、‟日本の木材を上手に使おう”という提案をしました。
(川崎市HPより)
実は川崎市ではすでに、国内各地の木材産地と連携した木造化に取り組まれています。
小学校や駅ビルの中の施設など、市民の目に見える場所にも木材が使われています。
木材を上手に利用し、林業の活性化や森林の手入れにつなげることは、SDGsの12番や13番、15番の達成に結びついています。
木材は、再生可能で捨てる所のない材料であり、CO2を固定してくれることで気候変動の解決にも貢献します。
そのほかにも、森林はSDGsとさまざまな形で関わっています。
林野庁のHPにも森林×SDGsについて載っていますので参考にしてくださいね。
講義が終わった後は、質疑応答の時間。
10人ほどの生徒さんが手を挙げてくれて、
「一番好きな木は何ですか?」
「なんで建築の仕事をしているんですか?」
といった素朴な質問から、
「世界で森林面積が減っている国、増えている国はどこですか?」
「グラフを見ると日本の人工林面積が増えていましたが、これからどうなっていくんですか?」
といった鋭い質問まで、たくさんいただき嬉しかったです。
意外と鬼滅の刃に関する質問は1つもなく・・・みんな真面目に聞いて考えてくれたんだなと感心しました。日頃から学校でSDGs教育に取り組まれている賜物だと感じました。
質問が多かったのであっという間に予定していた40分を越えて、先生が延長して対応してくださいました。
都市の生活も森林とつながっていること、日本の森林の問題は世界ともつながっていることを、感じてもらえたのなら嬉しいです。
木を使うだけでなく、林業や森林に関わる仕事に就くことでも貢献できるよとお伝えしました。森林の豊かな高知県にもいつか遊びに来てほしいです。
今回は「オンラインで」「県外に向けて」「森林×SDGsがテーマ」という初めてだらけの試みでしたが、多くの方のご協力で無事に行うことができました。
翌日の神奈川新聞にも掲載していただきました。
井上建築では今回の経験をいかして、オンラインはもちろんのこと、やはり地元高知県の子ども達にも、森林について知ってもらう機会を今後も作っていきたいと思いました。
ご協力いただきました平間小学校や関係者の皆様、木の素材をご提供いただいた安芸市内の事業者の皆様、ありがとうございました。
これからも仕事や講座を通して「木のこころ」を伝えていきます。