健康と快適を叶える木の4つの効果:その3「あたたかみ・やわらかさ」

自然素材である木、特に無垢材には、新建材にはない4つの大きな特徴・効果があります。住まいに木を使うことが健康や快適にどのようにつながるのか、わかりやすくご紹介していきたいと思います。

3つ目の効果は、「やわらかさ・あたたかみ」です!

木は、触れた時にストレスを感じにくい素材。

住宅や家具にはさまざまな材料が使われていて、私たちは日常的にモノに触れることで心身に影響を受けています。木材、アルミ(金属)、アクリル(プラスチック)にそれぞれ触れた時の血圧上昇を調べると、人工物であるアルミとアクリルに触れた時は血圧が上昇=ストレスを感じますが、木材に触れた時は血圧上昇が小さい=ストレスが低い事がわかっています。

特に、アルミやアクリルは触れた時の温度が高い(熱い)時や低い(冷たい)ほど生理的ストレスが大きくなります。たしかに、金属やプラスチックは直射日光に当てるととても熱く感じ、冬の寒い日はとても冷たくひんやりと感じて、長く触っていられないですよね。温度だけでなく、硬さ/やわらかさや、ザラザラ/つるつるしている、などの感覚が、木に触れた時の心地よさに関係しているとされています。

木にあたたかみを感じる理由は「熱伝導率」

金属やプラスチックと比べて、木材は熱い・冷たいを感じにくい素材です。その理由は、「熱伝導率」=熱の伝えやすさにあります。熱伝導率が高い=熱を伝えやすい素材は、触れた瞬間に人体から多くの熱を奪うため冷たく感じ、また加熱するとすぐに高温になってしまいます。鉄のフライパンをイメージするとわかりやすいですね。

いっぽう木材は、孔のあいた細胞の中にたくさんの空気が含まれていて、天然の断熱材のような構造になっています。そのため、触れても人体の熱を奪いにくく、また断熱性があるため極端に冷たい・熱く感じにくいのです。フライパンの持ち手部分が木で作られているのは、鉄の部分がアツアツになっても火傷をせずに料理ができるための工夫です。

各種素材の熱伝導率

特に熱伝導率が小さい無垢材をフローリングに採用すれば、冬でもひんやり感じにくく、素足で過ごしても快適なほどあたたかみを感じます。また、夏場には焼けるように熱い金属製のデッキや手すりに比べて、ウッドデッキは少し熱さをマシに感じられます。このように、木材は触れても熱い・冷たいなどのストレスを感じにくい素材です。

子どもやお年寄りにもやさしいクッション性

木材の細胞にスポンジのようにたくさんの孔があいている(多孔質)ことは、熱伝導率を小さくするだけでなく衝撃吸収性にも優れています。木材に衝撃が加わると、細胞組織がつぶれたり、たわむことで衝撃エネルギーが消費され、跳ね返ってくる力が弱くなります。このため、転んだ時なども木の床がクッション性を発揮してくれ、小さな子どもやお年寄りの足腰にも優しいと言われています。

私たちはお客様の住宅の見学会などで、ずっと立ち仕事の時もあるのですが、木の家は長時間立ってご案内していても不思議と疲れにくく、元気が長続きするように感じています。きっと普段の生活の中で家事をしたり歩行していても、木の床なら体への負担が少ないのではないでしょうか?

ちなみに、住宅に使っている木材の中で最もやわらかさやあたたかみを感じるのはスギ材です。事務所の床に張ったスギの無垢フローリングの上でごろごろ休憩していると、気が付いたら布団も敷かずに大の大人が気持ちよく眠っていることもあるほど、やわらかさを感じます(笑)

やわらかさ故の、傷のつきやすさも理解して

無垢材は空気をたくさん含んだスポンジのような構造だからこそ、あたたかみや柔らかさを感じる素材です。その分、表面もやわらかいため、新建材に比べて傷がつきやすいという特徴がありますので理解しておきましょう。

私たちは、「家は綺麗に保ちなさい」という価値観や、賃貸住宅における原状復帰などのルール下で暮らしてきた中で、「床は絶対に傷をつけてはいけない」という考えに少し縛られ過ぎているかもしれません。もちろん、床の傷を見るのがとても嫌でストレスになってしまう、つい子どもを叱ってしまうのがつらいという方には、無理に無垢材をおすすめしないこともあります。しかし、住まいとは世界で一番リラックスできる、素の自分でいられる場所であってほしいもの。それに、年月を経ればどんな素材であってもいつまでも新品のままではいられません。見た目のきれいさよりも、心身がくつろげることをもっと重視して家の素材を選んでもよいのではないでしょうか?

健康や快適を大事にした住まいづくりなら、人体にやさしく、ぬくもりで包み込んでくれるような木の素材はとてもおすすめです。毎日を過ごすお部屋を、無垢材の力であたたかく気持ちの良い空間にしてみませんか?