「カスケード利用」ってご存じですか?
カスケードとは何段にも連なった滝という意味ですが、それになぞらえて、木材を大きい状態からだんだん細かくしていって使いきるという考え方です。
たとえば丸太を製材する時にまずは柱や梁といった大きな部材をとり、外側で板などをとる。さらに小さい板からは割りばしをとったり、最後は端材をチップにして紙などの原料にしたり、おが粉もいろいろ利用できます。
木材は、大きなものを小さく加工することは簡単ですが、一度小さくしたら元に戻せません。また、大きな丸太をいきなり粉々にしてチップにしてしまうのは、色々利用できる可能性をなくしてしまうことです。
だから木材は、カスケード利用することが、もっとも無駄がないのです。
建築現場でどうしても出てしまうのが木の端材です。
私たちは、これを加工し直して小さい材料として使ったり、ほしい方に薪としてお分けしたりしています。
そして安芸市内には炭焼き窯もあるので、炭を焼くときの焚付けとして使ってもらったりもします。
木は、最後には燃料として燃やしても無害なので、本当に捨てるところのない優秀な素材ですね。
そしてこの端材を燃料に使ってもらおうと、安芸市内にある土佐備長炭の窯までお届けにいきました。
その日はちょうど、焼き上がった炭を出しているところでした。窯の中の温度は1000℃以上にもなるとか。冬なのに職人さんが汗だくでお仕事されていました。
炭が触れあうとキンキンと金属音がするほど硬い備長炭ができあがりました。
大量の焚き木が必要になる備長炭の製造では、私たちの端材の量なんて微々たるものですが、こんな木の大変身の瞬間につながっていると思うと、なんだか嬉しくなりました。
これからもできるだけ無駄なく、木のいのちを活かしきる工夫をしていきたいと思います。