井上建築創業70周年

井上建築は、おかげさまで今年で創業70周年を迎えました。創業からこれまでの道のりを振り返ってみたいと思います。

初代・井上嘉幸からスタート

 戦後、満州から引き揚げてきた井上家に婿入りした初代・井上嘉幸(よしゆき)は、大工一家の樋口家出身。若いころはやんちゃで有名、歌って踊れるおきゃく好きな土佐の男でした。手先が器用で記憶力がよく、一度見ただけの門の彫刻を覚えて、自分で彫って再現して見せたとか。

 家では鶏や鰻を育てたり、松の木を苗木から育て立派な庭木に仕立てたりと百姓仕事もこなしました。晩年は自分で製材した木で家を建てるという夢をかなえるため、自宅近くに製材機を導入し、妻の百合子と共に木を挽いて建築に利用していました。

今も残る嘉幸の仕事(某邸門)

2代目・井上利和 高知東部の工務店として

 二代目の利和(としかず)は、15歳から大工修行に入り、22歳のときに井上家に婿入りしてきました。初代の嘉幸が体調を崩すと、ある日突然「今日からはお前ひとりで井上建築をやれ」と言い渡され、30歳で後継者となりました。利和は棟梁として大工や職人をまとめあげる、工務店としての基礎を築きました。棟梁として大切にしてきたことは、大工や職人さんが仕事がしやすいよう、きめ細かい現場の段取りをすること。高知東部の伝統的な瓦・漆喰の日本建築を得意とし、木の品質にこだわり原木からスギやヒノキを仕入れて柱や様々な部材に加工し、手刻みで施工してきました。

 現在の所在地である安芸市僧津に木造刻屋を建設した落成の時には、広い倉庫いっぱいになるほど多くの人が餅まきとおきゃくに参加したそうです。

二代目・井上利和

森林所有者として林業クラブにも所属し、間伐などの山の手入れにも取り組んできました。69歳になった今も現役の役員・職人として活躍しています。

3代目・井上将太 暮らしをつくるコミュニティビルダーへ

 三代目の将太は、井上家に久しぶりに生まれた男児。高校生の時に参加した間伐体験をきっかけに林業やエネルギー問題に興味を持ち、高知大学農学部で森林科学を学びます。大学在学中に地域づくりインターンで訪れたのは嶺北地域の製材所。人生の師となる田岡秀昭氏から林業や木材について深く学び、建築士を森へ案内するツアーの企画や、地域商社の立ち上げにかかわり木工品の製造販売に携わるなど、経験を積みました。卒業後は大手木材商社で世界規模の木材流通や大規模木造建築のプロジェクトを経験し、東京五輪関係の仕事を終えたことを機に30歳で安芸へ帰り、井上建築を継ぎました。2019年には法人化し代表取締役に就任しました。

 取締役の井上有加は、滋賀県出身。京都大学農学部で学んだことで林業や木材への思いを深くし、前職では林業や木材産業専門のコンサルティング会社で中小企業の経営支援やまちづくり支援に従事しました。

 二人の根底にあるのは、木のよさをいかした家づくりの技術を受け継ぎながら、その先にある地域や林業の活性化に貢献したいという思い。

 これまで学んできた木の知識や地域づくりの知見をいかし、創業70年となる井上建築は、家づくりやものづくりに留まらない、暮らしづくり工務店=コミュニティビルダーを目指していきます。

 小さな工務店からはじまった井上建築が70年営業を続けてこられたのは、お客様や職人・協力業者のみなさまのお力添えのお陰です。これからも高知東部を中心に地域に根差し、建築業を主軸としながらも、よりお客様や地域に貢献できるよう、あらたにコミュニティビルダー部門を立ち上げ新しい視点や人材を投入しながら展開して参りたいと思います。今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。