木と暮らす~薪ストーブがあってよかったこと

井上建築のショールーム「木のここち」には、薪ストーブがあります。

この冬は初めての稼働。パワフルでいてやさしい、心地よいあたたかさをもたらしてくれています。

そんな薪ストーブがあってよかったなと思うこと。

冬の特等席ができた

南国土佐だって、冬は寒い。南国育ちの高知の人たちは、とても寒がりです。

朝事務所に出勤してくると、凍えるとまではいかなくても、誰もいない暖房のついていない部屋は肌寒いものです。

薪ストーブは電化製品と違って、火をつけて暖まるまで時間がかかります。それでもうまく火がついて安定し、薪を継ぎ足していけば250℃くらいの高温をキープしてくれます。

輻射熱で、ストーブ本体からじわじわ部屋に広がっていくぬくもり。赤々と燃える炎は見た目にもあたたかく、遠赤外線効果もあって体の芯からぽかぽかあたたまる。パサパサと乾燥しがちなエアコンの温風や、ジリジリするような石油ストーブとも違う、人間の身体にしみ込むようなあたたかさがあります。

ずっとストーブの前にいると、汗ばむくらい。昼間に太陽が差し込むと「暑い」と感じる時さえあって、真冬なのに窓を開けて過ごすこともあります。なんともぜいたく。

ストーブの前が、冬の特等席。寒くてきらいだった冬が楽しみになりました。

ランチが楽しみになった

薪ストーブのいい所は、その熱を利用して料理もできること。本体の天板は高温になるので、ここにポットを載せてお湯を沸かさない手はありません。いつでもお湯が沸いていてコーヒーが淹れられるっていいですよね。

天板はお鍋も載る広さがあるので、ここでお湯を沸かしてお昼にパスタを茹でたり、朝仕込んできたおでんやポトフをコトコト煮込んでおくことだってできます。(仕事中にいいにおいが漂って、お腹が減ってくるのが難点ですが)

お昼前に少し火を落ち着かせて、熾火の状態にする。ストーブの中に専用の五徳を置いて、ピザ用の鉄皿を使ってカリっと焼き上げる。冷凍ピザだって薪で焼けば本格的な味がするものです。

空いたスペースにはホイルで包んださつまいもやジャガイモ、りんごを放り込んで、おやつは焼きいもや焼き林檎に。

ついつい食べ過ぎてしまう、冬のお昼ごはんです。

薪友達ができた

薪ストーブのちょっと大変なところは、燃料である薪を集めないといけないことです。自動的に供給されるガスや電気とは違うところです。

薪は、自分で山で伐ってきたり、薪やさんから購入したり、選定枝をもらってきたり、手に入れる方法はいろいろあります。私達は工務店ですので、ありがたいことに建築端材という薪がたくさん手に入ります。

薪ストーブを導入したことをきっかけに、建築現場から出てくる端材や、古い在庫の木などを捨てずにせっせと集め、40cmの長さにカットして積み上げ、ストックしておきました。

すると、「薪を分けてほしい」という方が事務所へ訪れてくれるようになりました。

それは、薪ストーブを導入したお施主さんであったり、噂を聞きつけて来られた安芸市内の薪ストーブユーザーさんであったり。ストーブ以外にも、キャンプで使う方、自家製サウナ(?)で使う方、干し芋(ひがしやま)を煮込むのに使う方、お風呂を薪で焚いている方、さらに薪ではなくちょっとしたDIYの材料にする方・・・。

逆に、「薪をもらってほしい」というパターンもあります。庭木を伐ったから引き取ってほしいと、わざわざ持ってきていただいたこともありました。

薪を中心にいろいろな方が訪れてくれるようになって、何だか楽しいことになってきました。

木のいのちを最後まで活かせた

私たちが薪ストーブを導入した理由は、その芯からあたたまる心地よさやお料理の楽しさなど、豊かな機能ももちろんありますが、もう一つはやはり「木のこころ」を人の暮らしにいかしたいという理念から、木の恩恵を受けて暮らす手段として、火をそばに置いておきたいという想いがあったからです。

薪になった木が燃えるのを見ていると、小さな木ぎれでもこんなに力強い炎を出して熱量を発してくれるのかと、その中に貯蔵されているエネルギーの大きさに驚きます。

建築端材の多くは一般的には廃棄物として処理されており、私たちも薪ストーブを導入する前は、材料として再利用できないものはやむを得ず廃棄するしかありませんでした。しかし燃料として小さな木まで使いきることができるようになって、今まで何ともったいないことをしていたものだと思いました。これまで処分に困る廃棄物だったものが、とてもありがたい冬場のエネルギー、宝物だという見え方に180℃変わりました。

それと同時に、廃棄物に対する意識も高まりました。薪ストーブではどんな木でも燃やせるわけではなく、接着剤や樹脂系塗料のついたものはストーブを傷めますし大気汚染の心配もあることから、高温で焼却する必要があるのでやはり廃棄せざるを得ません。これは将来、住宅が廃棄される時にも同じ問題が起こるわけで、やはりできるだけ自然塗料や無垢材という材料を使い、長持ちする家づくりをしなければならないと実感しました。

山で育った木が建築材料になり、最後は炎になって人をあたためてくれ、空へ還っていく。薪ストーブは、そんな風に木のいのちを活かしきること、そして私たちが木にいかされていることを考えるきっかけになりました。

少しだけ手間がかかるけど、あったかくて、おいしくて、人が集まって、ありがたみをじわじわと感じられる。そんな薪ストーブは、南国土佐の冬の暮らしをとても豊かにしてくれるものでした。薪ストーブのある暮らしが気になる方は、ショールーム「木のここち」へ、そのあたたかさを体感しにいらしてくださいね。

ストーブの前のソファに腰かけて、ただ炎を眺める、そんな時間を過ごしてみませんか。