床は大事
お家で暮らしていて、直接肌に触れる時間がもっとも長い場所といえば、たぶん「床」です。
素足で歩いたり、ごろんと寝転んだり、赤ちゃんがハイハイしたり。人は素肌や足の裏を通して色んなことを感じます。寒さや温かさの感覚にも直結します。だから、床の素材は大事だと思うのです。
そこで井上建築がおすすめする素材は、「無垢材」でできた無垢フローリングです。
「無垢フローリング」とは?
「無垢フローリング」とは、100%木材の挽板でできたフローリングのこと。自然素材であることや肌触り、本物の質感などの特徴があり、木のこころを感じられる素材です。
しかし、日本のほとんどの住宅で使われているのは、ベニヤを接着剤で張り合わせ表面にシートを貼った「複合フローリング」です。もともとの素材は木材ですが工業的に作られる製品で、一定の品質や精度を安定させることができ、施工も簡単なので多くのハウスメーカーなどで採用されています。
現在の住宅ではレアともいえる無垢フローリングを、なぜおすすめするのか。
そのメリット、そしてデメリットについてもご紹介したいと思います。
無垢のメリット、デメリット
「無垢」のいいところ
無垢フローリングは、木の細胞の中にたっぷりと空気を含んでいるため、複合フローリングに比べて断熱性があってあたたかみを感じます。また、複合フローリングの多くはウレタン塗装がされていますが、無垢材を無塗装や自然塗料で仕上げれば、よりいっそう、触れた時の体感温度が違ってきます。
特にスギやヒノキなどの比重が軽い針葉樹の場合、表面がやわらかいので踏んだ時の反発が小さく、お子さんやお年寄りが歩くのに体にやさしいと言われています。
さらに、無垢材には木の表面が湿気を吸ったり吐いたりする調湿作用がありますので、梅雨時期などもべたべたしません。とくにお風呂上がりの素足で無垢フローリングを踏んでみると、ほどよく水分を吸ってくれるので、さらさらっと気持ちがいいものです。
本物の木は、一つとして同じものがない木目や節など、自然でランダムな表情があって味わいがあり、それも楽しむことができます。
また無垢材は接着剤を使用していないため、シックハウス等の心配も少ないです。
「無垢」で気を付けたいこと
いろいろなメリットがある無垢ですが、ハウスメーカーやマンションの床にほとんど使われないのには理由があります。
無垢材は自然素材であり、工業製品のように完璧に品質をコントロールすることが難しいものです。まず見た目がばらついて、カタログ通りにはいきません。施工してから「こんなに節があると思わなかった!」と思う方もいます。その点、複合フローリングは木目調のプリントを施したものも多いので、見た目を自由にデザインできてしまうのです。
そして無垢材の水分を吸ったり吐いたりする調湿作用はメリットでもありますが、そのために、湿度の変化により膨張・収縮をするため、反ったり隙間が空いたりしやすく、それもクレームの原因になります。無垢材の変形は、湿度が変わればほぼ元に戻ってしまうのですが、そのことをお施主様に理解していただく必要があります。
また、年月が経つと日焼けしたり変色したり、傷がついたりしやすいのも無垢材の特徴です。
これらのデメリットは、メリットと表裏一体の無垢材ならではの特徴ではありますが、このようなことをお施主様にきちんと納得していただかないと、クレームになってしまう場合があるのです。そのため、リスクが少ない複合フローリングをすすめてしまいたくなるのが、工務店の本音かもしれません。
それでも、無垢の床の心地よさや本物の質感は、何物にも代えがたい価値だと思いますし、日焼けや傷も「味」としてとらえる(経年美化という考え方)ことも、暮らしのゆとりや豊かさの一つだと考えています。
私たちは、このようなメリットやデメリットについてもしっかりとご説明をしたうえで、やっぱり無垢をおすすめしたいと思います。
最後に、価格について。
無垢フローリングは、原材料の単価や生産効率などから、一般的に複合フローリングよりお値段が高くなります。施工する手間も多くかかってしまいます。
それでも、あえて言いたいと思います。
せっかくの家づくり、大事な床の素材は、贅沢してほしい!
一生に一度の家づくりで何に優先的にお金をかけるかは、お施主様それぞれに、本当に様々な価値観があります。冒頭にお伝えしたように、本当に心地よい暮らしは直に肌にふれる床からはじまるという考え方もありではないでしょうか。
豊富な森林資源をたっぷり使えるこの日本に生まれたなら、足元に、無垢のある人生を。
国産無垢フローリング
井上建築が特におすすめしたいのが、国産の無垢フローリングです。
昔から日本人になじみの深い木、産地や顔が見える安心の国産材を足元に敷き詰めてみませんか。